FJD AL02 レベラーシステムとは?田んぼの均平作業を自動化するスマート農機の特徴と導入メリット
畦道から失礼いたします。セキド農業チームの渡会です。

スマート農業チームと言いつつ、「この人芝刈り機の話ばっかりしてるな?」とお思いの方も多いかと思い、今回はスマート農業に関連した内容として、FJDのAL02 レベラーシステムについてご案内いたします。
田んぼのレベリング(均平)作業とは?
水田の地面をできるだけ水平に均すことで、水の深さを一定に保ち、稲が均等に育つように田んぼを水平に整えるのがレベリング作業です。
圃場(田んぼ)は1反(10a=1,000㎡)や1町(1ha=10,000㎡)で数えられることが多いですが、一口に圃場と言っても大きさや形は様々です。土地の所有権の関係で飛び地に圃場があることも。
圃場のサイズが小さかったり、形が歪だと作業性が悪いということで行われるのが、区画整備や合筆(圃場の境界となる畔〈あぜ〉を取り払って、隣の田畑と繋げる施術)です。
合筆によって拡大した圃場ですが、もとは別々の圃場を統合するため、高低差が発生することが多々あります。

高低差により水の勾配が変わることで、水管理が煩雑になったり、肥料・農薬が流れてしまったりと、生育ムラの原因になり得ます。
また、九州を中心にイネの食害が問題視されているジャンボタニシの対策にも、水管理が非常に重要です。タニシが登ってきてしまうので、水深4cm以下できれば1cm程度に保つ必要があります。

近年話題になっているイネの直播栽培においても、均平作業をすることで収量の安定化を図ることができます。均平作業によって水抜けが悪いことによる根腐れリスクを軽減し、肥料・農薬の滞留を防ぐことができます。

このように、中~大型の圃場での収量安定化や、イネを天敵から守るために大活躍するのが “レベラー” と呼ばれる農機具です。
従来のレベリング作業
レベラーはトラクターの後方に装着する農機具で、圃場の表面を平らに均す(=均平)作業に使われます。
従来の方式「レーザーレベラー」は、発光機と受光機&作業機のセットで使い、均平にしたい圃場のすぐ横の畦道に三脚付きの発光機を立てて、勾配率を設定します。
例:100mあたり±1cmの高低差に設定(この場合で0.01%勾配)
発光機から出るレーザー光を受光機で受けている間、作業機が自動的に上下します。圃場の土を高いところから低いところに運んでいくというシンプルな作業ですが、レーザー光が当たらないと作業機が動かないため、高さ調節がシビアです。
また、近隣で同様のレーザーレベラーを用いた作業をしていると混信することがあったり、強風で三脚が揺れてしまうと正確な高さが出なくなってしまうという問題がありました。
レーザーレベラーの参考動画:
FJD AL02 レベラーシステムとは
従来のレーザーレベラーの問題点を改善したのが、AL02レベラーシステムです。コントローラーモニター、GNSS受信用アンテナ、VCU(Vehicle Control Unit=車両の制御を担う装置)の3点が基本のセットとなります。
自動操舵システムと違い、トラクターではなくレベラー本体にGNSSアンテナを装着します。


GNSSを用いた位置補正システムを利用して、仕上げ高さの誤差±2.5cmで均平作業をすることができます。衛星通信を利用するため、三脚・発光機を立てる必要がなく、圃場の境界をトラクターで走り、さらに圃場内部を走り回って簡易的な測量を行います。
その測量データをもとに仕上げ高さを設定することで自動的に作業機を上下させて均平作業を行います。
均平作業だけではなく、一方方向に勾配を作ったり、二方向に勾配を作ることで水管理をしやすくすることも可能です。

また、一番のポイントはなんといっても圃場内の高低差・作業状況の視覚化にあります。
簡易測量後の圃場内の高低差と作業後の高さが、マップ上の色付けで表されるため、レベリング作業が未経験の方や農業を始めてまだ日が浅い方も、今まで直感や経験に基づいた “職人技” に近い作業が実現できます。

FJD AL02の接続方法
AL02は、牽引式と直装式、両方のレベラーに対応しており、
・牽引式:昇降の制御を作業機側で行う(別途専用のコントローラーあり)
・直装式:昇降の制御をトラクター側で行う
といった違いがあります。


牽引式であれば、作業機側の昇降制御のカプラーにAL02のケーブルを接続し、昇降の動作確認するだけで比較的簡単に対応可能です。
直装式については、トラクター側に昇降制御のレーザーカプラーがあれば、直装専用のケーブルをつなぎ、AL02側で作業機との電圧調整を行えば使用可能です。
※2025年8月現在、車内にレーザーカプラーがある国産トラクターのみ対応
代掻きでも使える?
よくユーザー様より「田んぼの代掻きでも使用可能か?」とのご質問をいただきますが、こちらについてはメーカーでの検証中です。
均平と代掻きでは、作業が似ていますが以下のような違いがあります。
代掻き
水を張った状態で圃場内の高さを整えます。何回も作業すると土が柔らかくなりすぎて、移植栽培だと苗立ちが悪くなる場合もあるため、注意が必要です。ただし、湛田直播(水を張った状態での直播栽培)の場合は、少しトロトロの状態にするのが良いとされています。

レベリング
圃場内の高い場所から低い場所に土を持っていき、高さを揃えます。何度も圃場内を走って高さを均していく作業です。

代掻き対応の可能性
このような違いのある「代掻き」と「レベリング」ですが、AL02には圃場内の簡易測量をせず、任意の高さに設定して作業する “クイックプロジェクト” と呼ばれる機能があるので、恐らく技術的には可能と思われます。

要望は非常に多いので、今後のメーカーからの発表を注視していきます。
AL02 レベラーシステムについてのお問い合わせは
セキドでは全国の需要に合わせてご提案を行っております。レベラーシステムの導入をご検討されている方や機能・精度が気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!レベラーシステムに限らず、自動操舵システムが気になった方のお問い合わせをお待ちしております。

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